【Fishing: Barents Sea】世にも珍しい漁師ゲーながら、色物に終わらない出来栄え【Steam】
最近始めた漁業シミュレーション「Fishing: Barents Sea」がかなりヤバイ出来でびっくりしてます。
祖父から受け継いだボロ船に乗り込み、ノルウェーのバレンツ海で延縄漁業を繰り返し、船や機材のアップグレードを経て有効漁業範囲を拡大していく。。というゲーム。
天候や海流が釣果や船の挙動に影響するうえ、網のサイズや海抜、仕掛け・引き上げのタイミングまでシビアに設計されています。
かといって「もう覚えるのめんどくさ過ぎる」というほどすごく複雑なわけでも無く、ゲームとして求めるリアリズムの限界値を巧みに綱渡りして、しっかり面白いと思えるギリギリに落とし込んでいるような印象です。
ちゃんと魚を釣った後に内臓の処理してなるべく腐らないようにしなきゃいけなかったり。謎のこだわりがすごい。笑
例えばゲームの設計者が「プレイヤー自身はトイレに行く必要がない」「空腹の概念も無くそう」「でも雇ったバイトには体力を設定しよう」と考えたかどうかは分かりませんが、ゲームとして、シミュレーションとして「これ面白いじゃん」と思える部分はできる限り残している、といった感じです。
で、特にすごいなと感心したところをひとつ。
こちらのゲーム、オープンワールドなのでファストトラベルができるんですが、一部のミッション(港Aから港Bに魚を持って行け的なもの)ではファストトラベルが不可となっています。
それがまあ船の積載状態やエンジンのポテンシャル、航行距離によってはリアルに45分~1時間くらいかかるわけです。
いわゆる普通のRPGでこんなことやらされたらふざけんな!ってブチ切れて放り出すようなシステムなんですが、このゲームは何故か許せてしまう。いやむしろ気持ちいい。ほんと不思議なんですがね。笑
自分なりにこの感情を分析した結果なんですが、前述したようにゲームとして成り立つ水準のギリギリ必要なリアルシミュレーターとしての部分をかなり細かく作り込んであり「船上での船員の時間感覚」を疑似体験できてるのが要因ではないかと考えています。
私の場合はyoutubeで配信してるんで長時間の移動中は適当に喋ってる訳ですが「他の人はスマホをいじったり本を読んだりしてるのかもしれんなあ」とか他ユーザーへの思いを馳せる事ができるわけです。オフラインゲーなのに。
それよりも何よりもノルウェー海上の雰囲気がとてもよく、時間帯によってはクジラが潮吹いてたりオーロラが見れたりします。
昼前に出航し、
のんびりと目的地に近づくオンボロ船。
時刻はもう21時過ぎ。
静かに揺蕩うバレンツ海、
ゆっくりと眼前に近づいてくる港の帳、
主張し過ぎないアンビエントミュージック、
ぽんぽんと一定間隔で鳴り続けるエンジン音ですら心地よい音色となる空間。
雇ったバイトのババアは休憩室で寝てるんだろうな、とか、十数時間前に仕掛けた網はどうなっただろう、とか、海人としての妄想がビンビン膨らみます。
結果、ファストトラベルしないことで得られる豊かな時間というものが存在することに、ある種の革命を見たような気さえします。
また、どんどん成長していく船の性能にもニヤニヤできるのも、野郎にはたまらないポイントではないでしょうか。
追加アップデートで日本語化されてた部分が中途半端に英語に戻っちゃってますが、それでもゲームの素晴らしい内容にすっかり引き込まれてしまいます。
私のように「ゲームはずっと操作していなくてもいい」と思える人にはピッタリの作品だと思います。とにかく一般的な釣りゲーでは体験できない漁獲量を楽しんでほしいです。