スパイスのみで作るカレーのはなし・ベース作りまで
趣味で作り続けているカレーの話をしていきます。
ルーを使うことと、スパイスのみでカレーを作ること。
違うようでいて、原理は全く同じです。
●カレーの三大要素
人はどういった部分で「これはカレーだ」と認識しているのか。大前提として意外と見落としがちなところでもあります。個人的な見解になりますが、ここからひも解いていきましょう。
・匂い
カレーだな、と分かる匂いの一番大きなところはスパイス。
その中でも「クミン」「カルダモン」の二つはなくてはならない存在です。
この二つが入っていることがカレーの匂い、豊かな風味、深みのある味わいの礎となります。逆に言うと、この二つがあればほぼカレーが完成する、そのくらい重要なものです。
・色
黄色~茶色っぽいのが、我々が普段イメージする普通のカレーです。
要素としてはスパイスの「ターメリック」 「バター」など。パプリカなんかを入れることもありますね。私はそこまで意味を感じなくて使っていませんので省略します。
・ 辛味
カレーは辛くないとカレーにあらず。辛すぎて食べられないという意見もありますが、それはスパイスのバランス次第でなんとでもなります。いわゆるカレーの刺激的な辛さは「カイエンペッパー」によりもたらされるものですが、日本人に慣れ親しんだ「ショウガ」を多く使うことで辛いのが苦手な人でも辛味を楽しめる構成へと変化します。
当たり前のようですが、この大前提をどうカレーに組み込んでいくのか。
この認識が甘いと、生涯地を這うことになりかねません(なりません)。
上記の三大要素を頭に入れた状態で、市販のルーにも応用できる作り方を見ていきましょう。
●スターティングスパイス~ベースの作り方
先ほど出てきたスパイスの一部を使いながら、カレーのベースとなるものを作っていきます。このカレーベースの作り方は市販品のルーにも応用できますので、覚えておいて損はないでしょう。
基本的には
1「粉状のスパイスは煮ると風味が出る」
2「シードやホール状のスパイスは揚げると風味が出る」
と頭に入れて置いてください。
市販のルーは1を合成・圧縮し結晶化したものだ、という認識で覚えておいてください。
で、スターティングスパイスですが、2の条件に当てはまるものを中心に構成していきます。
・カルダモン(マスト)
・クローブ(入れすぎるとクセ強い・なくてもいい)
・マスタードシード(入れすぎても大丈夫・ほぼ必要)
・フェンネル(清涼感のある風味・あると大吉)
・キャラウェイ(肉の臭みを消す風味・なくてもいいけどあるとベスト)
をミルし、あらびきの状態にしておきます。
油(バターでも可)を多めに引き、刻んだショウガ、ニンニク、ミルしないクミンシード、スターティングスパイスを投入。
クミンシードをミルしないのは、食感が好きだからです。
スターアニス(八角)を入れて揚がった頃に取り出すというのもあり。私は手元に余ってれば使う、といった程度です。
イメージとしては、油に各スパイスの風味を移動させるという感じ。
先ほど2で言ったように、揚げないと風味が出ないものばかりで構成されています。この風味付きの油ができた時点で、7割完成と言っても過言ではありません。
では、この風味付き油をどうするのか。
ここで登場するのが、玉ねぎです。
先ほどの風味がなじんだ油を今度は玉ねぎに移動させるイメージ。
飴色になっていようがいまいが、しなしなになった時点で風味付けは完了しています。
このタイミングで、カレーのベースは完成しています。
あとは好みで市販用ルーの裏面通りに水を入れるもよし、トマトの水分を使うもよし、ヨーグルトを入れるもよし。
具材を煮込んで仕上げに市販ルーを入れるか、パウダーを入れるかの違いなだけで、仕上がりは大きく変わりますが、しっかりと味わい深いものになっているでしょう。
「カレーの味は複雑であればあるほど深みが増す」というのは私の持論です。
当然、手を抜くと手を抜いたものにしか仕上がりません。これはその料理にも言えることですが、カレーはその傾向がより顕著になる気がします。
最終的には自分がサイコーに美味いと思うカレーが仕上がればそれでいいんじゃないかなと思います。その道中、試行錯誤を楽しむのもカレー作りの魅力だと思いますし。
良いバランスで出来たベースは、メモをとっておくことをお勧めしておきます。いずれ家宝にもなりえるので。
市販カレーを使った動画↓